Voices

支援を受けた研究者・学生等の声

国外の研究者等との会話を通じて人脈を広げることができました

2019.06.24

勝本 英明 【H30国際会議等参加支援 採択】

人文科学府 博士課程3年

 
【国際会議参加等支援 成果報告書】
所属: 地球社会統合科学府 地球社会統合科学専攻 博士課程1年
氏名: 高久 彩
国際会議名: The 10th International Conference on Cultural Policy Research(ICCPR2018)〔第10回国際文化政策会議〕

 タリン大学(エストニア)で平成30年8月21日から25日に開催された第10回国際文化政策会議(The 10th International Conference on Cultural Policy Research)に、報告者および討論者として参加しました。
 私の報告と討論は、パネル・セッションⅣ(Historical perspectives on implicit cultural policies)において8月23日に行われました。まず、本セッションの最初の報告者Tiiu Kreegipuu氏の報告(The role of media as an agent of cultural policy: case of Soviet Estonian press)に対して、討論者としてコメントおよび質問を行いました。続いて、本セッションの2番目の報告者として、私は報告題目The Meiji Restoration and the establishment of the Imperial Court Museum in Japan(明治政府の「復古」と「朝廷ノ博物館」の成立)を発表しました。本報告では、明治政府の基本的な理念である祭政一致に基づいて、「朝廷ノ博物館」がどのように確立されたのかということについて批判的に捉え直し、「朝廷ノ博物館」が明治政府の祭政一致の営みが拠り所とする「歴史観」を「国民」に対して表徴していたことを明らかにしました。これに対して、討論者のユヴァスキュラ大学(フィンランド)のMiikka Pyykkönen教授よりコメントと質問を受けました。討論者の質問のなかには、報告を通じて明治政府が祭政一致に基づいて再構築した儀礼および国家との関係は理解できたものの、「朝廷ノ博物館」と儀礼との関係が明確ではないのでは?、また国家にとって国立博物館とは何か?という問いがありまさした。これら質問に対して、以前に指導教員より同様の指摘を受けていたこと、また非常に難しい問いであることを述べつつ、これらを解明するために国家の儀礼に関連する玉、鏡、剣とともに装束や楽器などにも注目し、博物館との関係について解明するべく博士論文の研究を進めていることを説明しました。
 以上、他の報告者や会議参加者からの知見を得ることを通じて、博士論文の研究課題について様々な国や地域の状況と比較し、相対化する機会となりました。また、国外の研究者等との会話を通じて人脈を広げることができました。
 本支援助成事業の支援により、海外で開催された国際会議で報告を行うことを通じて、博士論文の研究対象である「博物館」の見方について視野を広げるとともに、今後さらに研究を進める上で必要な課題を探求することができました。お力添えをいただき感謝申し上げます。
 今後も本事業の支援が継続されますよう、採択者として可能な限り協力したいと考えております。



ICCPRでの発表の様子

Miikka Pyykkönen教授よりコネント等を受ける