Voices

支援を受けた研究者・学生等の声

独自のアプローチで睡眠の謎を解きたい

2018.05.15

金谷 啓之 【平成29年度受賞】

理学部 生物学科

 睡眠とは何でしょうか。
 私たちは毎日体感しているにも関わらず、そのメカニズ
ムは複雑であり、よく分かっていません。現代神経科学最
大のブラックボックスであるとも言われます。ヒトに似て
いる生物(例えば、サルやマウス)を使って、その謎を解
くのが大事な一方、シンプルな生物を使って睡眠のミニマ
ム・エッセンシャルな要素を抽出することも有効です。
 そこで私は、最も原始的な神経系を持つ刺胞動物に目を
つけました。最もシンプルな神経系における睡眠を同定し
、そのメカニズムを探ることで、睡眠制御の「核」となる
部分を抽出・解明したいと思っています。現在は、睡眠を
はじめとする生体リズムの専門家や、刺胞動物の専門家と
協力しながら研究を進めています。自信を持ってこのプロ
ジェクトを進めることができるのも、山川賞の支援のおか
げだと感じています。
 将来的には生命科学者になることを目指しています。従
来のような「知識集積型の生物学」ではなく、理論(モデ
ル)から現象を予測する「演繹的な生物学」を実現させたいと考えています。そして、睡眠のように身近でありながら「ぼんやりとしているもの(メカニズムが分からず直感的にしか理解できないもの)」に、「骨組みを与えたい(メカニズムの明らかにしたい)」と思います。そのために必要となる能力とストラテジーを大学在学中に温めたいと思います。

【写真:上】研究室での実験
【写真:下】研究内容の発表