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脂質膜の動的振る舞いと創薬応用の分子基盤解明プロジェクトの創設とご支援のお願い

2025.12.17
脂質膜の動的振る舞いと創薬応用の分子基盤解明プロジェクトの創設とご支援のお願い


 九州大学は、基幹教育院内に「脂質膜の動的振る舞いと創薬応用の分子基盤解明プロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトでは、細胞膜や人工脂質二分子膜における脂質分子の動態・膜構造変化・分子間相互作用を分子レベルで解明し、それに基づいた新たな創薬やドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発に資する基盤的知見を構築することを目指します。

<背景>

 人間の体は数十兆個の細胞から成り立っています。それらの細胞の外側には、「生体膜」というリン脂質でできた外壁のような膜があります。生体膜は脂質分子、タンパク質などから構成される二重膜構造をなしており、物質輸送、シグナル伝達、分子認識など、生命活動に欠かすことのできない高度な機能を担っています。脂質二重膜を対象とした研究には、モデル膜を用いた基礎科学の分野から細胞を用いた生命科学・応用科学の分野まで多岐に拡がっています。

 「脂質膜の動的振る舞いと創薬応用の分子基盤解明プロジェクト」では、脂質分子から構成されるモデル生体膜(脂質二重膜)を対象に、膜構造や機能、膜内での分子の動的な振る舞いに関する理解を深化させ、新たな創薬への応用展開を打ち立てようとする学際的な研究プロジェクトです。このプロジェクトの背景には、以下のような科学的・学際的ニーズや課題があります。

1.生体膜の役割の重要性
 細胞膜は、主にリン脂質が水溶液中で自己組織化して形成する脂質二重膜を基本構造とし(右図)、これに受容体などの膜蛋白質が入り込んだ形態になっています。リン脂質は、水になじみやすい「親水性」の部分(親水基)と、水になじみにくい「疎水性(または親油性)」の部分(疎水基)を併せ持つ両親媒性分子であるため、脂質二重膜では疎水基が内側に向かい合い、親水基が外側に向いた構造となっています。細胞膜や細胞小器官の膜は、単なる物理的なバリアではなく、細胞内外での物質輸送やシグナル伝達、細胞間相互作用など多くの生命現象に関与しています。特に、近年では脂質二重膜を構成する脂質分子の種類やそれら分布(脂質ラフト、非対称性など)がこれらの機能に大きく影響することが明らかになりつつあります。




2.脂質膜の“動的な振る舞い”の理解が不十分
 脂質二重膜の機能発現に関しては、従来、膜タンパク質の構造評価を基にする研究が精力的に推進されてきました。脂質二重膜は柔らかく、流動性に富んだ脂質の海のようなもので、最近では、脂質の海に特定の脂質やタンパク質が集まってできる“小さな筏(ラフト)”が浮かぶ不均一な構造である“脂質ラフト”の存在が提唱されて以来、脂質膜の構造的・動的特性が生命機能に与える影響が再評価されています。膜内での脂質分子の動き、分子間相互作用、膜の柔らかさや曲げ易さ(曲げ弾性)などの理解が進めば、新しい生理機能の解明や疾患の理解につながります。

3.脂質膜が関連する疾患の増加と創薬ニーズ
 アルツハイマー病、がん、ウイルス・細菌感染症などは、脂質膜での分子分布の異常や膜融合が関与しています。疾患と脂質膜動態・構造との因果関係や細胞がウイルスに感染する際の脂質膜の曲率変形(融合・分裂)メカニズムを明らかにすることは、脂質膜を標的とする創薬へとつながります。また、紫外線による皮膚ダメージや加齢による皮膚バリア機能の低下などは、皮膚の最も外側にある脂質二重膜(角層)での脂質分子の異常と関連しており、角層の構造と皮膚トラブルとの因果関係を理解することが、新たなスキンケア物質の創製に展開可能となります。

4.測定・解析手法の進展による研究の精密化
 近年、分子動力学シミュレーション、単一分子計測、超解像度顕微鏡、時間分解計測などの新たな測定・解析手法が登場し、脂質膜での分子動態を精密・正確に観察・評価できるようになってきています。産学連携の下、これらの手法を駆使することで、脂質分子の膜内動態と膜変形のダイナミクスをより精密に捉えることが可能になり、これまで未解明であった現象の理解が進むのみならず、従来の認識を上書きする新たなブレイクスルーを生み出すことが期待されます。

<本プロジェクトが目指すもの>
 本プロジェクトでは、脂質二重膜を対象として、基礎科学(物理化学)的な立場から、産学連携を進めながら研究を推進し、以下の項目の達成を目指しています。

・脂質膜の動的構造と分子間相互作用の解明
・脂質膜内における脂質分子の不均一分布と膜構造・機能の相関解明

・脂質膜の異常性(分子組成・分布)と脂質膜が関与する疾患の相関解明

・膜機能を標的とした新しい創薬基盤(モデル膜での薬効評価・解析)の構築

 さらに、新たな薬剤の開発には多くの知恵とマンパワーが必要です。このプロジェクトが対象とする学際分野で活躍できる若手人材の育成にも取り組んでいきます。



<今後の展開>
 現在、日本人の死因第1位であるがん(悪性新生物)に対して用いられる抗がん剤は、がん細胞のみならず正常細胞にもダメージを与えるため、副作用の強さが解決すべき問題となっています。また新型コロナウイルス感染等と同様に、この先、未知のウイルスによるパンデミックが起こる可能性は否定できません。このプロジェクトでは、得られた成果を基に、副作用の少ない新たながん治療薬や、ウイルス感染によるパンデミックの予防・治療を目指した薬剤の開発へ展開できる学術・応用基盤の構築を進めて参ります。

 どうぞ、本趣旨にご賛同下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。


基幹教育院・教授/プロジェクトリーダー

瀧上隆智


<寄附の方法>
クレジットカード決済によるご寄附
こちらのクレジットカード決済専用寄附申込みページより手続きをお願いいたします。
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※2022年1月から、ゆうちょ銀行での現金振込の場合は、現金利用負担額が別途必要となります。

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「九州大学基金寄附申込書(個人用)(法人用)」を総務部同窓生・基金課へ送付いただいた後、本学の指定金融機関の口座へお振り込みをお願いいたします。恐れ入りますが振込手数料はご負担ください。

ご寄附にあたっては、寄附申込書の「寄附の種類」の欄で、「その他」を選択し、「脂質膜の動的振る舞いと創薬応用の分子基盤解明プロジェクト」とご記入ください。

寄附申込書のご提出がない場合は、寄附者の確認が困難になり、領収書をお届けできないことがございます。

本プロジェクトへのご寄附は、所得税法上の寄附金控除の対象となります。
詳細は、税制上の優遇措置(寄附金控除)をご覧ください。




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【寄附金の納付に関するお問合せ先】
九州大学総務部同窓生・基金課基金係
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FAX 092-802-2149
E-mail k-kikin@○jimu.kyushu-u.ac.jp(メールアドレスの中の○を消してください)

【本事業に関するお問合せ先】
九州大学学務部基幹教育・共創学部課運営支援係
TEL 092-802-5926
E-mail gazsomu@○jimu.kyushu-u.ac.jp(メールアドレスの中の○を消してください)