Voices

寄附者の声

田村 哲伸 様(1983年農学部卒業)

2024.05.20


 「今どきの国立大学は、どこも財政難で悩んでいる」という話を、しばらく前から報道等で耳にしていました。「今どきの大学の教職員は、研究費の獲得のため多大な労力を費やさざるを得ず、結果的に自身の研究や学生の指導育成が後回しになってきている」という話も、大学に身を置いている知人から聞いていました。現に昨今、外国の大学と比較しても学術論文の引用件数は相対的に低下しており、今後日本からはノーベル賞の授賞者が出なくなるのではないか、という懸念の声もあります。

 戦後日本が高度経済成長を成し遂げられたのも、焦土と化したとはいえまだ高度な知識や技術力を持った人たちが残されていたからだ、と言えると思います。現在の日本は、国家財政は巨額の負債を抱え、少子高齢化の進行には歯止めがかからないなど、まことに悲観的な状況にありますが、人が未来を切り開く意思と能力を持つことだけが、これからの時代に希望を見いだす原動力になるのではないでしょうか。

 これからの社会をリードする人材の育成と、社会課題のソリューションの提供は、大学の重要な使命だと思います。その使命を果たすために、お金は十分条件ではありませんが、現実問題としては必要条件でしょう。近年躍進の著しい中国の状況を鑑みれば、その思いを強くせざるを得ません。

 そんなことを考えつつ、せめて私のできることはという思いから、この度母校である九州大学へ寄付させていただきました次第です。

 学生時代は、九州大学が持つ北海道や宮崎の演習林に現地実習に行くことで、自身の認識フィールドを拡張させることができました。また学生時代は体育部に在籍していたので、七大戦では他の国立大学の学生と交流の機会を持つことができました。このような全国的な経験ができたのも九州大学ならでは、と有難く感じています。

 この度ささやかながら寄付をさせていただきましたが、私自身はこれを単なる「寄付」とは考えていません。一種の「投資」だと考えています。もちろん、私自身がリターンを期待しているわけではありません。広く後世の人たちに何かの形でリターンがあれば、嬉しい限りです。

写真は学生当時の田村さんです。