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令和二年度開学記念式典 山川賞受賞者発表会について

2020.09.30
 令和2年9月19日(土)、伊都キャンパス椎木講堂において、令和二年度開学記念式典が挙行され、山川賞受賞者を代表して、共創学部共創学科3年の木村紗彩さん及び医学部医学科3年の村口大知さんのお二人に発表いただきました。

 「共創学部」とは、平成30年度に、およそ50年ぶりに九州大学に新しく新設された学部で、木村さんは、その第一期生となります。
 木村さんは『地球規模の課題を解決に導くゼネラリストを目指して』と題し発表いただきました。木村さんの目標は、グローバル、ローカルの両極において、共創学部生だからこそなし得る専門性を兼ね備えたゼネラリストとして、貧困問題をタスクフォース的な動きで解決したいとのことです。グローバルでは、国連や日本の政府機関に携わり、それぞれの貧困地域の特徴に根ざした解決方法を企画できる者となりたい。ローカルでは、国際的な課題解決や真理の追及を通じて培った視点や行動力を活かして、出身地の首長(北九州市長)として、物や心の貧困の無い豊かな社会づくりを行いたい。いわゆる Think Globally, Act Locallyを実現させたいと、山川賞受賞後、様々な活動に励んできたそうです。
 現在、韓国ソウルのスッミョン女子大学短期留学中に開発に取り組んだ、今、世間で大きな問題となっている「あおり運転」による悲惨な事故を未然に防ぐためのシステム『あおり運転未然回避SOSシステム』を企業や大学と連携して実用化に向けた開発、SDGsに関する英単語帳の出版、国際的な課題を外交の現場で学ぶなど多方面で活動されています。

 木村さんに続いて、村口さんは『全ての人の役に立つ為に』と題し発表いただきました。
 村口さんは、一度、他大学の工学部を卒業した後、医学の道を志し、本学医学部に入学されました。医学の道を志したきっかけが2つあり、1つは自分を応援し支えてくれた母親が呼吸器の病になり、この病気の治療が難しく、また明確な治療も確立されていないものでした。そのような難病でしたが、母親を診察してくれた医師の「難しい病気でも、誰かが研究すればきっと新しい治療法が見つかりますよ」と言う一言に、村口さんの心は揺さぶられ、母親と同じ病気に苦しむ人たちを助けてあげたいと願う気持ちが医学の道を志すきっかけになったこと。もう1つは、祖父が老衰による入院中に、担当医師が笑いながら、心許ない言葉を村口さん家族に発し、自分をはじめ家族がとても辛い思いをしたことを忘れることができず、医師として患者の体の治療はもちろん心にも寄り添うことの大切さを痛感、患者の気持ちに寄り添える医師になりたい。また、そのような医師を育てたいと考えるようになったそうです。
 医者になれば目の前の患者を救うことができる。しかし、研究者になれば、その研究成果は世界中の人、更には後世の人の救いにもなりえる。村口さんはより多くの人の役に立つために医師免許を持った研究者になろうと、海外留学で言語力の向上と海外医療の実情、論文や研究のさわりに触れ、高い倫理観を持った、世界トップレベルの呼吸器研究者になるため勉学に励んでいます。