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九州大学基金「BeCAT・環境をテーマにした建築研究教育プロジェクト」へのご支援のお願い

2023.10.17


1. BeCAT設立の背景と理念
 現代の人類の活動は完全に地球を覆い尽くしてしまい、地球は地質学的に認識できるレベルで環境が変わり、既に「人新世」に入ったとのことです。それが地球温暖化や豪雨災害などの問題を引き起こしていることに疑いの余地はなく、現在あらゆる分野で、脱炭素やSDG’sなどの持続可能な社会を目指す取り組みが求められています。中でも都市建築分野は、全エネルギーの約3分の1を消費しており、その考え方には大きな変化が求められています。こうした課題を解決するには、工学的な技術開発ももちろん重要ですが、さらに私たちのライフスタイルや幸福観についても再定義してゆく必要があります。
 そこで九州大学BeCAT(Built Environment Center with Art and Technology)は、以下の理念を掲げ、本学卒業生で世界的に活躍する建築家の重松象平 氏をセンター長に迎えて、2021年4月に設立されました。


BeCAT設立の3つの理念
1)ArtとTechnologyを結びつけて新しい環境建築の研究教育拠点を作る
2)  大学での様々な研究内容を融合させ九州をフィールドとして社会実装する
3)  Act Local / Think Grobalで持続可能社会における建築・都市の姿を再定義する
 ここで建築に関する「Technology」は、環境・構造のシミュレーション、BIM(ビルディング・インフォメーション)、デジタル・ファブリケーションなどのエンジニアリング技術を表しています。他方、一般に芸術を意味する「Art」は、ものの役割や形を創造する「デザイン」を表しますが、同時に「リベラル・アーツ」の用例のように、人文科学の意味も含みます。BeCATが設置された人間環境学研究院には、都市建築分野の研究者に加えて、心理学、教育学、社会学、文化人類学などの研究者がいますし、共同運営する芸術工学研究院、総合理工学研究院をはじめ、学内の多様な研究者にアクセスできます。BeCATは、多方面からの知見を統合する窓口となり、企業や自治体と連携しながら多様な社会課題を解決することを目指します。

BeCATの活動イメージ


2. BeCAT研究教育プロジェクトの意義と支援のお願い
 
BeCATでは、九州の具体的な対象をフィールドとし、最先端の研究から導かれた知見を統合した、実験的かつ実践的な建築・都市プロジェクトを進めてきました。こうしたプロジェクトを通じて、高度な知識・技能と社会実装能力を持つ人材を育成する教育プログラムを実施しています。さらに、環境建築と循環型社会について学びたい方を対象としたリカレント教育にも対応しています。BeCATの取り組みは、このように社会と直接繋がりながら、成果を還元することを目的としており、設立以来多くの社会課題について相談を受け、具体的な成果を上げつつあります。そこで、BeCATでは、以下のミッション・ヴィジョン・ヴァリュー(MVV)を設定し、研究教育プロジェクトを継続的に展開するために、広く支援を呼びかけることにいたしました
 是非ともご支援をお願いいたします。

BeCATのMVV
1)ミッション:持続可能な世界を実現するための新しい建築と都市のあり方を提示する
2)ヴィジョン:教育を通した新しい環境建築プロトタイプのデザインと研究開発
3)
ヴァリュー:社会実装・実験性・国際性/地域性・次世代育成



3. 研究教育プロジェクトの構成
1)  BeCATデザインスタジオ
社会実装を目指す具体的なプロジェクトやリサーチの課題に取り組み、提案を作成します。春学期(4-5月)、夏学期(6-7月)、秋学期(10ー11月)にそれぞれテーマを決めて実施します。また、スタジオの一つとしてインターンシップ科目を設けています。

2)  BeCATプログラム
大学院修士課程の学生を対象とした高度な知識・技能と社会実装能力を持つ人材を育成する教育プログラムです。BeCAT基礎プログラムとBeCAT応用プログラムで構成し、修了者にはそれぞれプログラム認定証が授与されます。
BeCAT基礎プログラム:デザインとエンジニアリングの両者を学ぶ講義科目とスタジオ科目を履修して、必要な単位を修得します。今後のリカレント教育も視野に入れています。
BeCAT
応用プログラム:学生自らの力で社会実装プロジェクトに取り組み、それに関する論文を作成します。設計や施工に関する知識や実行力、研究的視点や考察力に加えて、コミュニケーションやマネジメントの能力も問われます。

3)  公開レクチャー
他大学や一般受講者も参加できるレクチャーシリーズです。各回ごとに現代の社会課題に関するテーマを設定し、専門家によるレクチャー後に議論を行うことで、テーマの内容を深く掘り下げます。

4)国際ワークショップ
海外の学生を九大に迎えて、また海外をフィールドとして、デザインとエンジニアリングを融合した短期国際ワークショップを実施します。それぞれの社会課題に対して、背景や視点の違いを相対化します。

5)  社会実装プロジェクト
スタジオなどでの取り組んだ成果をもとに、それをより具体的な社会実装プロジェクトへと発展させます。建築分野の技術と経験を持つ担当スタッフ、専門知識を持つ研究者、プロジェクトをサポートする事務局の運営メンバーと学生でプロジェクトチームを編成して、様々な社会課題に対応します。

BeCAT研究教育プロジェクトの構成と実施過程


4. 事業概要
1)  募集期間
 ・2028年3月31日まで

2)  目標額

 ・2,000万円/年

  (BeCAT研究教育プロジェクトの運営費 = BeCAT運営経費全体の約5割)

3)  主な使途

 ・前記BeCAT研究教育プロジェクトの運営と推進

 ・具体的な社会実装プロジェクトへの対応


4)  ご支援いただいた皆様への謝意

 ・BeCATからのお礼状及び活動報告書の進呈
 ・BeCAT成果報告会、講演会等へのご招待

 ・BeCATウェブサイトへのお名前の掲載(希望による)
 ・社会実装プロジェクト報告書の作成(依頼内容による)


5. BeCAT研究教育プロジェクトの運営体制
 BeCATの研究教育プロジェクトでは、学生と教員、担当スタッフがチームを組んで、具体的な社会課題に取り組みます。デザインラボを核として、学内外の研究者・専門家と協働して、プロジェクトを進めています。


BeCATの運営体制



6. これまでの活動内容と成果
1) BeCAT×JR九州住宅 「糸島の環境住宅」
 「九州の気候を活かした環境住宅をつくる」ことを目標に、2021年度のデザインスタジオで提案された学生提案の中から最優秀案を決定しました。

 選ばれた「Cross Court House」は、敷地の特性を生かした日射と通風、そして糸島富士ともよばれて地域の人々に親しまれる加也山の借景を取り入れたプランとなっていて、敷地環境のデータを用いた環境シミュレーションをもとに、ZEH(ゼロエネルギー住宅)の提案をおこないました。

 その後教員の指導の下で学生が設計し、2022年度に施工、竣工後に環境測定も実施しました。修士課程の樋口紗矢さん、石本大歩さんがプロジェクトの提案から設計、現場監理までを担当しました。

庭を取り込んで通風、日射、眺望を最適化する提案


竣工した住宅と担当学生



学生と模型を囲むJR九州住宅関係者とBeCATスタッフ










2) BeCAT x 杉能舎(濱地酒造) 「酒蔵ガルテン」
 伊都キャンパスに隣接する元岡地区にある築150年の歴史ある酒蔵を題材に、2021年のサマースクールで取り組んだ歴史ある酒蔵を地域施設へとコンバージョンする課題です。この酒蔵は、文化財的な価値を持つ地域の貴重な資産ですが、建物の老朽化に対する 安全性の確保が課題となっています。学生提案をもとに、その後BeCATデザインラボで検討を重ね、3Dスキャニングを用いた現況調査や空間イメージを損なわない構造補強の方法などを検討してきました。2025年の完成を目指して設計を進めています

2021年サマースクールの様子©YASHIRO PHOTO OFFICE



酒蔵の3Dスキャンデータ



庭と連続した酒蔵空間のイメージ


3) BeCAT×糸島漁業協同組合「持続可能なかき小屋のデザイン」
 冬の牡蠣小屋が風物詩となっている糸島の漁港では、新しい常設の牡蠣小屋が整備されつつあり、牡蠣を生産消費する過程では、毎年大量の牡蠣殻が廃棄されています。2022年のスタジオでは、持続可能で資源循環できる漁港のあり方を想定した牡蠣小屋のデザインを提案し、こうした牡蠣殻を地域で有効活用するための新しい牡蠣殻ブロックの開発に取り組みました。
 その後地元のコンクリートブロック企業である、福岡ILB(株)様にもご協力いただいてサンプルとなる牡蠣殻ブロックを制作し、漁港の一部に使用されたり、学園通り線沿いに現在開発中の地域拠点の一部に使用する計画など、さらなる展開を見せています。

糸島漁協でのプレゼンテーション



牡蠣殻ブロックを活用した牡蠣小屋のイメージ



学生が制作した牡蠣殻ブロックのサンプル


4) BeCAT応用プログラム
 2022年度より、修士課程の学生自らがプロジェクトの企画・設計・制作・運営に関わり、論文を執筆する「BeCAT応用プログラム」を進めています。大川の前田健具製作所の協力を得て環境シミュレーション解析をしながら取り組んだ「伝統的民家に学ぶ環境調整建具」、可也山の麓にある親山地区の皆さんの協力を得て、演劇集団ロッカクナットの舞台セットを作成した「竹の舞台ステージにおける演劇作品の上演~放置竹林の活用とシビックプライドの形成~」など、合計7つのプロジェクトが実施されました。

竹の演劇舞台「竹箆舎-TAKENOYA-」



民家の納屋に取り付けられた環境調整建具の模型


7. BeCATの活動状況
 BeCATのこれまでの活動や最新情報は、以下をご参照ください。
1) BeCAT ウエブサイト
2) BeCAT データベース
 https://becat.kyushu-u.ac.jp/database
3) BeCAT インスタグラム
 https://www.instagram.com/becat_kyushu
4) BeCAT フェイスブック
 https://www.facebook.com/BeCAT.kyushu


●寄附の方法

①クレジットカード決済によるご寄附

こちらのクレジットカード決済専用寄附申込みページより手続きをお願いいたします。

ご寄附にあたっては「寄附目的」で使途特定寄附の「BeCAT・環境をテーマにした建築研究教育プロジェクト」を選択してください。
 

②指定金融機関からのご寄附(指定金融機関はこちら

本学所定の振込用紙(払込取扱票)を使用し、ご寄附いただけます。振込手数料はかかりません。振込用紙(払込取扱票)をお送りしますので、こちらの払込用紙請求ページよりご連絡ください。ご寄附にあたっては「寄附目的」の欄で「使途特定寄附」を選択し、「BeCAT・環境をテーマにした建築研究教育プロジェクト(または【BeCAT】でも可)」とご記入ください。

※2022年1月から、ゆうちょ銀行での現金振込の場合は、現金利用負担額が別途必要となります。

③指定金融機関以外の金融機関、ATM、インターネットバンキングからのご寄附

「九州大学基金寄附申込書(Excel様式)・(PDF様式)」を総務部同窓生・基金課へ送付いただいた後、本学の指定金融機関の口座へお振り込みをお願いいたします。恐れ入りますが振込手数料はご負担ください。

ご寄附にあたっては、寄附申込書の「寄附の種類」の欄で、「その他」を選択し、「BeCAT・環境をテーマにした建築研究教育プロジェクト(または【BeCAT】でも可)」とご記入ください。

寄附申込書のご提出がない場合は、寄附者の確認が困難になり、領収書をお届けできないことがございます


本プロジェクトへのご寄附は、所得税法上の寄附金控除の対象となります。

詳細は、税制上の優遇措置(寄附金控除)をご覧ください。

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(寄附金の納付に関するお問合せ先)

九州大学総務部同窓生・基金課基金係

TEL 092-802-2150

FAX 092-802-2149

E-mail k-kikin@jimu.kyushu-u.ac.jp(メールアドレスの中のを消してください)

(本事業に関するお問合せ先)

九州大学大学院人間環境学研究院 BeCAT事務局

TEL 092-802-5234

E-mail becat.office@arch.kyushu-u.ac.jp(メールアドレスの中のを消してください)