Voices

寄附者の声

権藤 説子 様(1974年教育学部卒業)

2024.03.19



私の大学時代は、20歳で母を亡くし、後半は暗い日々でした。勉学の意欲をなくし、学生生活を楽しんだ想い出も殆どありません。その後税理士の資格を取得し、キャリアを積んでまいりましたが、キャリアアップも遅かったと思います。そのきっかけが56歳で前原市(後に合併して糸島市)の代表監査委員になったことでした。

監査委員になったことで、隅々まで前原市を見る事が出来ました。そして前原市がこれからどう発展していくのか、少しワクワクしながら市役所に通ったのを覚えています。今思えば私の中で「地方創生」がキーワードになっていたのだと思います。


前原市が合併を経て糸島市になりましたが、九州大学の移転もその五年ほど前に開始されたのではなかったでしょうか。移転をしたことで「田舎に移ると学力が落ちる」と言う人もいましたが、私はそうは思いません。この豊かな環境に恵まれ、学ぶ意欲に繋がるのではと思いました。そして今、私自身が大学時代には味わえなかったことを伊都キャンパスで思い出す事が出来ています。


今回寄附した「糸島インクルーシブ・アートヴィレッジ・プロジェクト」は、街づくりに関わるもので、まさに私が待っていたものでした。自営の税務会計事務所を2018年に閉じ、次の時代を模索する中、縁あって東京演劇集団風(かぜ)と出会い、視覚・聴覚障害の方たちをはじめ多様な方々が一緒に楽しめる「バリアフリー演劇」の世界へと分野を深めることになりました。

また、九大街づくり応援団という一般社団法人を作っており、自分のテーマが「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」であること、そして街づくりが私の関わっていきたい活動であることに辿り着きました。まさに学問を通じてこの地が創生されていくその一助になればと思い寄附させて頂きました。


九州大学には、これからもどの大学にもない、九大らしいものをますます創り上げていって欲しいと思っています。私自身教育学部卒で、文系もぜひ頑張って欲しい。街づくりとしては、交通インフラも変わっていってくれることを期待しています。これまでも多様な人達と繋がって自分があると思っていますし、大好きな福岡・糸島が、多様な人々が共に学び、暮らすインクルーシブな地域になっていくことを期待しています。



写真はバリアフリー演劇「ヘレン・ケラー」上演時