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支援を受けた研究者・学生等の声

今、半導体研究が熱い!修士学生インタビュー

2023.12.01

新地 茉央・保坂 亮磨

システム情報科学府電気電子工学専攻


日本における半導体人材の不足や、継続した人材育成と研究開発に関する産業界の熱い要望に応えるため、九州大学では「価値創造型半導体人材育成センター」を開設し、九州大学基金でも「価値創造型半導体スペシャリスト育成プロジェクト」を設置しています。半導体分野を専門とする理工系教員だけでなく、デザイン、ビジネス、起業に関する教育に携わる教員総勢24名が結集し、半導体の材料、設計、製造からマーケティング、価値創造、社会課題解決といったスペシャリストを育成するこの半導体人材教育、実際に教育を受け、研究をしている学生達に実際の研究などについて話を聞いてみました。

- 半導体研究を選んだきっかけって何ですか?
新地私はもともとモノづくりに興味があり、その中でも身近なスマートフォンなどの機器の製造に携わってみたいという考えから、この分野を選択しました。そのような身近なものの製造に関われるというのがこの半導体研究の面白さだと考えています。

保坂:スマートフォンや通信技術の進歩による恩恵を自身も享受し、魅了されました。そして、これらの進歩が半導体技術に基づいていることを知り、半導体研究に興味を持ちました。


- お二人の研究テーマは何でしょう?
新地:私の研究テーマは「ベイズ最適化を利用したアンテナの設計」です。アンテナを設計する上で、どの部分をどのような長さにするかを決定するには、パソコン上でシミュレーションをして確認する必要があります。ですが、例えば"1mmの時、2mmの時、3mmの時…"のように、全てのパターンに対してシミュレーションを行ってしまうと、非常に時間がかかってしまいます。その時間を短縮するために、「ベイズ最適化」という最適化の考え方を利用して、少ないパターンで良い結果が得られるか検証を行うというのが、私の研究内容です。

保坂:私は「無線エネルギーハーベスティング(EH)回路の開発」というテーマで研究しています。EHとは、身の回りに存在する使われていないエネルギーを収集し、電力に変換する発電技術のことです。EHの社会的意義は2つあって、1つは、二酸化炭素の排出量が削減され、環境負荷を軽減できること。もう1つは、電源なしで装置を駆動できることです。私はエネルギー源として地上デジタル放送用の電波に注目しているのですが、空間を伝搬する電波は交流かつ微弱です。そこで、高効率の整流回路、電圧増幅回路を開発しています。


システム情報科学府 電気電子工学専攻 修士2年の新地茉央さん

- そういった研究にも半導体って関係しているんですね…実際に研究してみて、半導体研究の面白さってなんでしょう?
保坂社会への大きな影響を持つことができ、やりがいがあることです。半導体は、現代のテクノロジーに欠かせないもので、コンピュータ、スマートフォン、電子デバイス、通信システム、エネルギー効率の向上など、様々な分野において半導体技術が革新的な進歩をもたらしていますよね。半導体研究は、これらの技術の進化に貢献することができるところでしょうか。


システム情報科学府 電気電子工学専攻 修士2年の保坂亮磨さん

- 九大の研究環境はいかがでしょう。
保坂九州地域において半導体産業との密接な連携を持っており、実際の業界の課題に取り組む機会を得られ実務経験を積むことができると思います。

新地九大ならではかどうかは分かりませんが、電気電子工学専攻に進むと、選択授業の中でも半導体の製造や半導体に関連する授業が多くあり、半導体の内容にたくさん触れることができます。また授業にもよりますが、中には外部講師の方をお呼びして、実際に企業で働いている方から直接お話を伺うこともできるので、そのような授業は非常に有益だと思います。

- 外部講師の話も出ましたが、本学の半導体人材教育は、産業界との連携も大きな特徴の一つかと思います。その点期待していることなどありますか?
新地産業界と交流を行うことで、実際の企業で製品に用いられている技術やプロセス、製造工程について知ることができるのではないかと期待しています。また研究室内では、企業の方と共同研究を行っている人もおり、実際に企業で取り組んでいる内容を一緒に研究できるという点で、自分も共同研究を行ってみたいと感じます。


保坂:私は現実の産業課題に対する解決策を見つけ、実装する機会が提供されることを期待します。実際のビジネスニーズに基づいたプロジェクトを共同で推進し、実践的な経験を積む機会を得られると思います。また、最新の技術や業界トレンドにアクセスできると思うので、新しい技術や革新的なアイデアに触れることができると思います。これらの経験が課題解決力など自身のスキルの成長を促進できると考えています。


- お二人の普段の生活を教えてください。研究ってどんなスケジュールでするものですか?
保坂:単位を取り終えているので、現在は講義は受けていませんね。私は週末はバイトをしたり週に何度かジムに行ったりしている以外は自分のスケジュールで研究をしています。

新地:そうですね、私たちの所属する学府では、修士2年の後期は基本的に授業はありません。私たちの研究室では1週間に1度研究室でミーティングがあるので、その時間帯には皆研究室に集まりますが、それ以外は研究室に行く時間が決められているわけではないので、研究室にいる時間も人によってバラバラです。私自身も研究室には午前中に行ったり、反対に夕方から行ったり。平日の夜にはアルバイトを入れている日も多いです。

- 研究は各自のペースが重要なんですね。お二人共卒業が近いかと思いますが、今後の取り組みを教えてもらえますか。
新地12月にシンガポールで実施される国際学会に参加し、自分の研究について発表した後、2月の修士論文の提出及び発表に向けて作成を行います。3月に卒業するのですが、卒業後は半導体関連の企業に就職をする予定です。

保坂:私もこれまでの研究成果を12月に学会で発表する予定です。卒業後は通信業界で働く予定です。

- 新地さんや保坂さんのような学生さん達がどんどん社会に出て行って、新しい価値を創造する人材になって頂けること、すごく期待しております!ご協力ありがとうございました。


このインタビューは、別冊九大広報 Vol.4に掲載された内容のロングバージョンです。

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