Voices

支援を受けた研究者・学生等の声

メンバーの活動に対するモチベーションの向上

2019.06.14

室員 河田 尚子

九州大学デジタルファブリケーションサークル「3DD入出力室」 【H30課外活動支援 採択】

 このたびは、九大基金課外活動支援事業に採択していただき、ありがとうございました。
 当団体は、3Dプリンター(2種類計3台)の購入を支援していただきました。今まで、団体専有のデジタル工作機械がなく、立体物の出力が気軽に行えない状態にありました。立体データ作成の方法に関するCADの講習会を数回実施しましたが、ソフトウェア内でのレンダリング(リアルな画像を出力する)に留まっていました。講習の内容がコンピューター上での内容で終わってしまうため、何かを作っているという実感が湧きにくく、講習会参加者の継続的なモチベーションを維持することが難しい状態でした。
 支援をいただいてから、3Dプリントが可能になったことで、アイデアが物理的に手に取れることが最終的な目標になり、講習会参加者や3DD入出力室のメンバーのものづくりに対するモチベーションが向上し、維持しやすくなったように感じます。「作ってみたい」という気持ちを、実際に形に落とし込んでいくことがより現実的になったので、色々なこと(講習会、ワークショップ、有志でのデザイン)をサークルの活動として提案し、定期的に行いやすくなりました。3Dプリンターによって、デザインをCGだけではなく手に取れる形で展示することが可能になったことで、ものづくり系イベントへの参加や、展示を行う他団体への技術支援などができるようになりました。イベントへの参加を通して、学内外の様々な方に3DD入出力室の活動を知ってもらうことができ、メンバー数が15人から36人に増えました。サークルとして3Dプリンターを保有していることで、3Dプリント用のデータを作るためにCADを学んでみたい初心者や、3Dプリントする環境が身近にない人、専門的な知識を有していないが3Dプリンターを使ってみたい人など幅広いレベルの人が集まりました。これをきっかけに、以前よりも情報交換が活発化しました。
 週に一度集まりたいメンバーが集まり、デジタルモデリングの技術面での情報交換、3Dプリンターの活用方法、新しいソフトウェアの習得など幅広く勉強しています。互いに教え合うという新しいサークルのあり方を生み出すことができています。また、福岡市科学館の中高生を対象としたデジタルファブリケーションサークルと関わりのあるメンバーが入室したことにより、3DD入出力室の数名のメンバーが3Dプリンターの講師を務めました。複数回にわたる講習会を計画し、中高生に3Dプリンターの使い方を教えました。
 3Dプリント用のデータは、形状の3Dデータを作るためのCADソフトウェアと、3Dデータから3Dプリンターの動きを計算するスライサーソフトウェアを使って作成します。3Dプリンターを使えるようになるには、これらのソフトウェアが使えることが必要なので、3DD入出力室ではCAD講習会を複数回行っており、CADが扱えるメンバーが増えてきました。その中でも、積極的に作品制作や情報の発信を行っている2名のメンバーがFusion360学生アンバサダーとして活動しております。当団体の活動や試みは、彼らを通して他の大学の学生や、CADソフトウェア販売のAutodesk社に情報共有されています。